生活保護の裁判 判例「不正受給」の判決一覧
生活保護裁判の不正受給の判例を解説しています。
不正受給などによる判例の内容です。わかりやすくまとめていますので
ご参考ください。
生活保護の裁判判例「不正受給」!
生活保護を不正受給したとの裁判判例をわかりやすくまとめています。どのような判決が下されたのでしょう。
→裁判判例(エアコン、貯金、自動車保有)についてはこちら
→裁判判例外国人、扶養義務はこちら
滝川生活保護費不正受給事件(2008年6月25日 判決)
北海道の滝川市で生活保護費の不正受給が発覚した事案
当時暴力団組員であった男が滝川市に移転し、病気を理由に生活保護の受給を開始。札幌市の病院まで介護タクシーを利用し通院するという名目で1回当り20万円以上もの金額を請求し、滝川市はこれを認め請求額全額を支給。最終的に平成18年3月から平成19年11月までの1年8ヶ月間で計2億2886万円もの金額を滝川市は支給し続けた。
不正受給発覚後、この男と共謀していたその妻は逮捕。男はその他の罪(覚せい剤取締法違反等)併せて懲役13年、その妻に懲役8年の判決が言い渡された。
この事件は今後の生活保護の運用やその支給基準に関して根本から見直されることとなった代表的な事件である。また、この不正受給をめぐり、当時福祉事務所長と福祉課長であったものに大して住民訴訟が提起された。
滝川生活保護費不正受給住民訴訟(平成25年3月27日 判決)
上記事件を受け、滝川市の住民が市に対し住民監査請求を行ったが、市長はこの請求を棄却。結果、当時の市長および幹部の計5人に対し損害賠償を求める住民訴訟が提起される流れとなった。
判決で、市長および幹部2名に対してはその請求を退けたが、当時の福祉事務所長と福祉課長の2人に対し9785万円の賠償を命じた。
裁判長は、「不正が見抜けなっかたのはおかしい。支給額が極めて異常である。」とし、異例の判決となった。実際、不正受給されたこの2億円以上もの金は遊興費や覚せい剤購入に充てられており、事件発覚時にはほぼ全額が回収不能の状態になっていた。
福祉事務所による不作為が引き起こした事件として当時の責任者が断罪されたが、これはニュースやネットで議論の的となった。「2人に計1億円の賠償は判決が重過ぎる」・「相手がヤクザだったから怖かったのでは?」といった同情や判決に批判的な意見もある一方、「1回20万円以上のタクシー代を異常だと思えない感覚が異常」・「見抜けなっかたのではなく見抜こうともしなかっただけだろ。」といった概ね判決に賛同する意見もあり、賛否が分かれている。
なお、滝川市はこの判決に対し控訴する意向を示している。